九戸政実物語  コラゲ

九戸政実の子・亀千代は、11才だった。鹿角郡から津軽に行き、再興を図るべく、落城の迫った8月23日に城を脱出した。馬淵川を渡り、米沢、下斗米、上斗米を越えて、田子の上郷まで逃れた。 

後見人は佐藤外記であった。外記は、政実の実弟・実親の奥方が三戸南部本家から輿入れの時、付家老として九戸の渦中に入った人物である。

南部信直は、亀千代が城を脱出したとの情報を得て追っ手を差し向けて探索させた。亀千代一行が、上郷の左羽内に差し掛かったところ、馬上の亀千代が、「外記、ゲキ、お前の顔色が悪いが何事か」と聞いた。外記は、「追っ手が迫っています。敵の手に渡すには及びません。覚悟を。」と突然、背後から鎗を構えた。

亀千代は、子供ながら落ち着いて、「鎗では首を刎ねられまい。この刀を使え。」と自分の刀を取って外記に渡した。

また一説には、亀千代が子供とあってトンボ取りに夢中になり、指をグルグル回していた。背後に忍び寄る気配がしたので振り返ると、外記が鎗をしごいていた。亀千代はとっさに叫んだ。「こらっゲ」と叫んで首を刎ねられた。地元の人は、この場所を「コラゲ」と呼んでいる。

のちに佐藤外記は、信直から許されて,姓を下参郷と改めて、田子十六村を勤める胆入りとなったと伝わっている。田子地方の童歌に、「ダンブリコダンブリコ、グルグル回して首ちょん切るぞ」として、後世に伝わっている。

別の伝承では、首を刎ねられたのは、病死した同じ年頃のであり、津軽為信の協力で津軽に落ち延びたとも伝わる。津軽家臣に、九戸氏がいるので、全く荒唐無稽の伝承でも無いような気がする。




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