最後の海軍大将

最後の海軍大将

昭和五十年暮、最後の元海軍大将が逝った。帝国海軍きっての知性といわれた井上成美である。死亡のニュースは記憶に残っている。その前後にあるドキュメンタリー番組で、彼の生涯が紹介されたのも覚えている。

彼は、終始無謀な対米戦争に批判的であったといわれる。兵学校校長時代は英語教育廃止論をしりぞけ、敗戦前夜は一億玉砕を馬鹿げたこととした。終戦工作に身命を賭し、戦後は近所の子供たちに英語を教えながら清貧の生活を貫いたといわれる。

近隣の大人たちから「大将さん」、子供たちからは「ミスター井上」と親しまれたと、教え子の証言が多くのこっている。一般的には山本五十六、米内光政に並ぶ条約派の軍人として名前は出るものの、語られることの少ない軍人だ。彼の言葉で印象深い証言がある。

〈国軍の本質は、国家の存立を擁護するにあり、他国との戦いに馳せさんずるがごときは、その本質に違反す。第一次大戦に日本が(日英同盟にもとづいて)参戦するも邪道なり。海軍が同盟[三国同盟]に反対する主たる理由は、この国軍の本質という根本観念に発する、いわゆる自動参戦の問題なり。たとえ同盟国が、他より攻撃せられたる場合に於いても、自動参戦は絶対に不賛成にして、この説は最後まで堅持して譲らざりき〉

単純に戦争反対の言葉ではない。他国に頼って国の防衛をするのは、国軍の本質ではないという決意から出た言葉だと思う。現在の米国便りの国防を見たら、井上大将はどう感じるのだろう。そろそろ、ケンポウキュウジョウという呪縛から脱却しなければならない時期だ。

戦後に、国民に「負けて皆さんを、悲惨な目に遭わせて申し訳ありません。」と謝った軍幹部は、井上大将だけのような気がする。戦後に国会議員になった源田実大佐、辻正信陸軍大佐などとは対照的な軍人である。




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