漆の増産はできるのか   

 ここ数年、浄法寺では国産漆に関する問題が表面化しつつある。文化庁が、国宝や重要文化財の建造物の修復に使われる漆は、下地も含めて国産の漆を使うようにと通知したからである。

 一見すると、浄法寺にとって嬉しいと思われる通知であるが、よく考えてみると国産漆の生産量は、消費量の1~2%と言われており、文化財にかぎっても必要な量が確保できそうにない。確実に確保できない状況である。

 発端は、日光東照宮だった。修復工事が終わって3年目にして塗られた漆が剥げだしたというのだ。ほかにも各地で建物の修復工事後わずか数年にして塗料が剥げる事例が相次いでいる。その理由として、漆塗りの部分を国産漆ではなく中国産漆を使ったからとしている。

 そもそもウルシノキは、大陸産も日本産も同種のもなのだ。加えて、桃山のころから日本が漆を海外から輸入していたのは、古文書によって明らかである。江戸時代の元禄文化は、海外からの漆輸入がなければ成り立たなかったはずである。江戸期に海外漆を使った製品が数年でダメになったという話は聞かない。

  現在の大陸では、樹液を自然に流れ出させて容器に受けるだけの方法で採取しているようだ。しみ出てから採取まで時間があり劣化しやすい。それに加えて、不純物が混じっているようだ。量を増やすために水飴を混ぜるという話も聞いたことがある。

 つまり、大陸産の漆は採取方法と生成過程の管理が悪いのであって、国産漆ならなんでもよいのではなく、樹液の採取方法や流通と精製法をよくしないと質のよい漆は生産できないわけだ。浄法寺の漆はこの点が優れているのだ。

 さて、文化庁の通達どおりにするには、年間2トン以上の国産漆が必要である。それに漆器業界が使う量を考えると、どれだけの漆が必要になるんだろうか。

 
まずウルシノキを増やさないといけない。漆掻き職人も確保しなければならない。道具をつくる鍛冶職人も確保しなければならない。

 隣の大国産漆の生産方法や流通を改善してもらって品質を上げる方が有効かもしれない。

 



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